【時事研究】シェール革命を支える技術
原油価格の推移は株価にも大きな変化を与えます。中でも、シェール革命により生産量No1になった米国の原油生産の現状を理解することは重要になります。
シェール革命とは?
シェール革命とは、コスト面から難しいとされていたシェール層からの石油の掘削が可能になり、米国の天然ガス輸入量が低下し国内価格も低下したことをさします。
米国において、従来は経済的に掘削が困難と考えられていた地下2,000メートルより深くに位置するシェール層の開発が2006年以降進められ、シェールガスの生産が本格化していくことに伴い、米国の天然ガス輸入量は減少し、国内価格も低下していきました。これが、いわゆる「シェール革命」であり、エネルギー分野における21世紀最大の変革であるとともに、世界のエネルギー事情や関連する政治状況にまで大きなインパクトを及ぼしています。
(引用元:経産省 第1節 米国の「シェール革命」による変化)
シェール革命を支える3つの技術
1.「水平坑井」(水平掘技術)
従来は垂直あるいは斜めに掘削する坑井が主流でしたが、水平坑井を採用することで、岩石との接触面積がより広くなり、一坑井当りの生産量は数倍に増加しました。
2.「水圧破砕」
石油やガスが存在する地層に圧縮した液体を流し込んで圧力をかけ(フラクチャリング)、それによって生じた人工的な割れ目(フラクチャー)により、石油やガスの流れにくさを改善する技術であり、 浸透率の低い岩石から生産を行うためには不可欠なものです。
3.「マイクロサイズミック」
フラクチャー形成の際に発生する地震波を観測・解析し、フラクチャーの進展を検知する手法で、石油やガスの回収率向上に貢献しています。
シェール革命が実現したコスト要因
「シェール革命」以前は、シェールガスは生産コストが高く、市場性がないと判断されていました。正確な生産コストを算出することは、掘削技術が開発あるいは発展途上であること、生産地域ごとに生産量や坑井の深度などが異なること、関連する会社が情報を非公開にしていることなどから難しいものの、通常の天然ガスの生産コストが約1ドル/百万BTUであるのに対し、シェールガスの生産コストはその数倍であると考えられていました。
それが、2004年に原油価格が高騰を始めると、状況が大きく変化しました。原油価格に連動していた天然ガス価格も大きく上昇し、2005年の米国内の天然ガス価格は前年を3ドル近く上回る8.86ドル/百万BTUに達しました。これにより、シェールガスの生産は採算に見合うものとなり、開発が進められていきました。
(引用元:経産省 第1節 米国の「シェール革命」による変化)